代表研究 Mini Evidence
統合的理解(絵画手順 × 脳機能 × 気分変容 の統合モデル)
1.背景
臨床の現場では、同じアート活動であっても、
その効果は本人の認知特性、感情状態、生活背景などにより異なる。
アート制作による変化を単に「リラックス」や「気分転換」として捉えるのではなく、
脳機能、認知処理、情動調整、行動変容のプロセスとして理解することが、
臨床的な根拠を持った支援につながる。
本研究では、絵画の制作手順に注目し、
段階が進むにつれて変化する認知負荷および情動変化に着目した。
その結果、絵画制作の段階性が心理的回復と関連している可能性を示した。
2.目的
・絵画制作の段階手順と、脳機能および情動調整の関係を整理する
・段階変化がどのように自己理解と行動変容につながるか検討する
3.方法
・水彩画を中心とした段階的表現課題(構造化された手順)を実施
・制作プロセスの変化を行動観察および面接で記録
・脳機能と関連する認知処理(遂行機能、注意、選択、切り替え)との関連を整理
4.主要結果(概要)
・手順の構造化により、認知負荷が適切に調整され、集中状態の維持が促進された
・制作が進むにつれ、感情の整理や自己理解の深まりが生じた
・達成経験が成功体験として統合され、行動への意欲が高まった
・絵画制作が自己理解と行動変容を橋渡しする媒介として機能した
5.臨床的意義(Recovery視点)
・段階的な制作プロセスは、回復の段階性を象徴的に体験する機会となる
・認知機能と情動調整の両側面を扱える柔軟な支援方法である
・成功体験の積み重ねが、自信と主体性の回復を支える
6.まとめ
絵画手順と脳機能、気分変容の統合的理解は、
アートを臨床支援の中心的ツールとして位置づける根拠を示す。
アートは単なる情動調整の手段ではなく、
認知処理、感情、行動、社会参加をつなぐ実践的プロセスである。
7.関連発表
第47回日本芸術療法学会(東京)2015
第53回日本てんかん学会ポストコングレス(神戸) 2019