Neuropsychology & Art | りんく・りんく京都
Recoveryモデルに基づく臨床科学的実証と学術発信
臨床神経心理学とアートセラピーの融合は、言葉だけでは届きにくいこころの領域に働きかけ、クライエント自身の回復力を引き出すための重要なアプローチです。
長年の臨床現場での実践を通して、アートが感情の整理、自尊心の回復、行動の変化、そして社会参加へとつながっていく姿を数多く目にしてきました。しかし同時に、アートがなぜ確かに人を変えていくのか──その根拠を説明できないことに葛藤を抱えていた時期もありました。
その問いに向き合うために、臨床神経心理学の視点から研究を重ね、Recoveryモデルを軸にした分析を行うことで、アートによる介入が脳機能・心理過程・行動変容を通して、生活の再構築へとつながるプロセスを整理してきました。
本ページでは、それらの研究成果をもとに、アートが臨床支援としてどのように機能するのかを実証的に示します。
論文2本および学会発表37題を通して得られた知見をまとめ、臨床・教育・医療福祉の現場で活かせるエビデンスとして発信します。
Neuropsychology × Art × Recovery
認知特性に基づくアプローチ選択モデル
遂行機能(計画・注意・整理・切り替え)/知覚・感覚処理
視覚認知・空間認知/言語理解・語想起
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神経心理検査による評価
情報処理スタイルの理解(言語優位/視覚・感覚優位 など)
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言語的アプローチ(カウンセリング)
視覚的/感覚的アプローチ(アート)
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自己効力感/情緒安定/自己理解の促進
意思決定の整理/行動の変化
▼
生活改善→ 行動変容 → 社会参加(生活再構築)
このモデルは、
認知特性(理解しやすいチャンネルの違い) に基づいて
言語的アプローチと視覚的アプローチを適切に組み合わせることで、
心理変化から行動変容、そして社会参加へとつなげる臨床支援の流れを示しています。
アートはカウンセリングと対立するものではなく、
対話を支える補助線にもなり、
言葉だけでは届かない理解を可視化するための媒介となります。
Research Concept(研究コンセプト)
臨床支援の現場では、言葉だけでは伝えきれない思いや感覚が存在します。
アートは、その言語化が難しい内面の体験を安全に表現できる手段として、
こころに働きかける大きな力を持っています。
一方で、感覚的な効果だけでは支援方法としての信頼性を十分に示すことはできません。
臨床神経心理学の視点を取り入れることで、アートによる表現過程が
脳機能の働き・情動調整・行動変容にどのように関与しているのかを、
科学的根拠として整理することが可能になります。
りんく・りんく京都では、
Neuropsychology × Art × Recovery を研究コンセプトとし、
アートの創造過程で生じる脳科学的変化と心理的回復のプロセスを統合的に捉えています。
研究を深めていく中で明らかになってきたことは、
アートが単なる気分転換や余暇活動ではなく、
感情の整理、自己理解、自尊心の回復、そして社会参加へ向かう力を育てるための
実践的な支援方法であるということです。
本ページでは、その根拠と臨床的意義を、研究成果に基づいて提示していきます。
Evidence(エビデンス)
臨床支援を確かなものとして届けるためには、
手応えや感覚だけではなく、客観的な根拠が必要です。
りんく・りんく京都では、臨床神経心理学とアートセラピーの視点を統合し、
実践で得られた知見を研究として積み重ねてきました。
アートによる介入過程が、
脳機能・心理的回復・行動変容・社会参加にどのようにつながるのか。
そのプロセスを、学術発表や研究報告を通じて整理し、臨床科学として位置づけています。
ここでは、これまでの研究の中から、
臨床的に意義の大きいテーマや特徴的な成果を厳選して紹介します。
臨床・教育・医療福祉の現場で応用可能な形で示し、
実践者や研究者と共に学びを深めるための資料として公開します。
Clinical Field(臨床実践への応用)
臨床支援を行ううえで重要なのは、
クライエントの困りごとを表面的な行動や感情からだけで判断するのではなく、
その背景にある認知特性や情報処理のスタイルを理解すること です。
人は、言語情報で理解しやすいタイプもいれば、
視覚的・感覚的な情報で理解が深まるタイプもいます。
その違いを、臨床神経心理学に基づく評価(神経心理検査)によって確認し、
クライエントに最適なアプローチを選択すること が、支援の出発点となります。
アートは、視覚的・感覚的な情報処理が強いクライエントにとって
内面を整理し、自己理解を深めるための有効な手段となります。
一方、言語的理解が得意なタイプに対しては、
言語的整理や構造化、対話によるアプローチが効果的となります。
このように、
「Art か Counseling か」という二者択一ではなく、
神経心理学的な理解に基づき、
クライエントに合った方法を選び、統合していく臨床実践 が
りんく・りんく京都の特徴です。
研究成果は、その選択プロセスが
感情調整、自己理解、行動変容、社会参加へとつながっていく根拠を示し、
医療・福祉・心理・教育など多領域の支援者が
より適切な関わりを構築するための指標となります。
Future Directions(今後の展開)
臨床支援の質を高めていくためには、
個々の実践を個人の経験に留めるのではなく、
知見として社会に共有し、次の臨床の改善へとつなげていく循環が必要です。
りんく・りんく京都では、
臨床神経心理学に基づく評価と、
クライエントの認知特性に応じた支援方法の選択という視点を軸に、
実践と研究を往復させながら学びを深めてきました。
今後は、臨床現場で得られた知見や支援方法を、
医療・福祉・心理・教育などの多領域の専門家と共有し、
地域社会全体で支援の質を高めていく仕組みを広げていきたいと考えています。
また、支援者同士が学び合い、
互いの実践を高め合えるネットワークを形成し、
臨床の現場と学術研究の橋渡しとなる場を創り出すことを目指しています。
研究成果を発信し続けることは、
支援の在り方を社会に問いかけ、新たな可能性を開くための重要な営みです。
これからも、実践と研究の両輪で歩みを進め、
より多くの人が自分らしい回復のプロセスを歩める社会の実現に貢献していきます。
Representative Research │ 代表研究紹介
神経心理評価:MSPA × WAIS
認知特性の把握により支援方法を
科学的に選択する枠組みを提示。
回復支援:睡眠×心理教育
睡眠リズムと自己理解の改善が
行動変容と社会参加を促進。
気分変容:スクラッチアート
情動表出が難しい成人に対し、
視覚・触覚刺激を用いた表現で情動調整 への可能性を示した研究。
多様性支援:ジェンダー
安全な表現の場と自己理解の深化。
社会実装:教育現場での活用
心理教育を通して理解の橋渡し。
統合モデル:絵画手法 × 脳機能 ×心理変容
機能調整/感情表現/成功体験の統合
Contact / Collaboration(お問合せ・ご相談)
研究や実践に関するご感想やご質問、
また関心をお持ちの専門家の方とのつながりを大切にしたいと考えています。
どうぞお気軽にお声かけください。
小さな一歩から、学び合いを広げていければ嬉しいです。